不正受給と聞くと、どんなイメージがありますか?巧妙な手口でおこなわれ、自分には縁のない話だと思う人も多いのではないでしょうか。
実は、失業保険の不正受給は、やろうと思えば簡単にできてしまいます。
少しごまかすだけならバレないだろうとか、ちょっと面倒だからとか、誰でも軽い気持ちでやってしまう可能性もあります。
では、どんなケースに不正受給となるのでしょうか?また、不正受給をしてしまったら処分はどうなるのでしょうか?
今回は、失業給付の不正受給についてお話します。
そもそも失業給付とは?
雇用保険では、失業中の人が生活を心配せずに仕事探しに専念できるよう、失業給付を支給します。
退職したら必ずもらえるイメージを持つ方もいるかもしれませんが、あくまで働く意思がある人に支給されるものです。
支給額・日数は人それぞれ
支給額は、直近の6ヶ月間の賃金にもとづいて決められます。
給付日数は、年齢・退職理由・雇用保険の加入期間によって90日~360日の間で定められています。
職業訓練中も支給される
失業給付は、職業訓練に通っている間も同じ金額が支給されます。
求職活動の状況やアルバイトを申告
失業給付の受給中は、4週間に一度の指定された日にハローワークで手続きをおこないます。
ハローワークでは、求職活動の状況を報告したり、アルバイト等をした場合にはすべて申告する必要があります。
一定の条件をクリアすると、失業給付の支払い手続きがおこなわれます。
失業給付の不正受給とは?

失業給付の不正受給とは、ウソをついたり不正な手段を使って支給を受けるようとすることを言います。現実に支給を受けたかどうかは関係ありません。
不正受給となるケースをみていきましょう。
ケース① 求職活動の実績を偽って申告した
失業給付を受けるには、4週間に2回以上の求職活動をする必要があります。企業等への応募やハローワークでの職業相談などを2回以上おこなうことがノルマとなります。
しかしこれらの活動をしていないのにもかかわらず、したとウソをついて申告すると不正受給になります。
ケース② アルバイトを申告しなかった
失業手当をもらっていても、一定の条件を満たせばアルバイトは可能です。ただし、働いた時間や収入によっては失業手当が減額・不支給となることもあります。
そのため、アルバイトをしたことを隠して失業手当を受け取ろうとすると不正受給となります。
ケース③ 就職した事実を隠していた
就職したにもかかわらず、それを隠して失業手当の支給を受け続けた場合は不正受給となります。また就職した日をいつわって、失業手当を受けるのことも同様です。
研修や試用期間であっても就職したとみなされます。不正の意識がなくても、申告を怠ると不正受給となるので注意が必要です。
ケース④「就職した」とウソの報告した
③とは反対のケースになりますが、早期に就職すると再就職手当がもらえるというメリットがあります。
就職していないのに「就職した」といつわったり、就職した日をいつわって申告し、再就職手当の支給申請をすると不正受給になります。
ケース⑤ ウソの記載の離職票を提出した
離職票は、退職した会社から発行される重要な書類です。
失業手当の金額や給付日数は、離職票に記載された収入や離職理由などにもとづいて計算されます。
そのため、いつわりの記載をした離職票をハローワークに提出し、失業手当を多く受け取ろうとすることは不正受給となります。
不正受給がバレたらどうなるの?

不正受給が発覚した場合、以下の処分が課されます。
処分① 支給停止
その日以降は受給の権利は無くなり、支給がストップします。
処分② 返還命令
不正に受給した金額は、全額返還することになります。
処分③ 納付命令
返還額にプラスして、不正に受給した金額の2倍の金額を納めなければなりません。
②と③を合わせると、いわゆる不正受給の3倍返しとなります。
さらに、不正受給をした翌日からは延滞金も課せられたり、支払いを怠ると、財産の差押えがおこなわれることもあります。
悪質なケースでは、詐欺罪などで処罰されることもあります。
まとめ
「企業に応募していないけど、面倒だから応募したことにした」とか「アルバイトしてお小遣いを稼いだけど、ほんの少しだから黙っていた」とか、このような「ちょっとごまかそう」という軽い気持ちがきっかけでも、不正受給となってしまいます。
失業手当をもらう前の説明会で、不正受給については耳が痛くなるくらい指導があります。それでもたまに不正をする人がいるという話なので、実際に不正がバレている人もいるということです。
職業訓練の交通費(通所手当)の不正受給のお話でも触れましたが、不正受給というものに対して、関係者は目を光らせています。
失業手当は正しく受給しましょう。
コメント